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期限までに相続税の申告ができないとどうなるか
1 税が加算されるなどのペナルティが課される可能性がある
期限までに相続税の申告と納付ができない場合、延滞税・無申告加算税が課税される、節税効果の高い特例の適用を受けられなくなるといったペナルティが課せられる可能性があります。
相続税の申告・納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日(一般的には被相続人が亡くなった日の翌日)から10か月です。
相続が発生するとたくさんのことを行わなければなりませんので、あっというまに申告の期限が来てしまいがちです。
以降で説明するようなペナルティを受けないためにも、できるだけ早めに相続税の申告・納付の準備を進めておく必要があります。
2 延滞税・無申告加算税が課される
⑴ 延滞税
期限までに相続税の申告・納付をしていない場合、期限の翌日から延滞税が発生します。
延滞税の税率はかなり複雑です。
原則としては、納付すべき本税の金額に対し、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年7.3%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は年14.6%となります。
ただし、時期に応じて、「延滞税特例基準割合」に数パーセントを加算した割合が適用されることもあります。
延滞税の税率は細かく変更がなされるため、正確な税率については、国税庁のホームページにて最新の情報を確認する必要があります。
参考リンク:国税庁・延滞税について
⑵ 無申告加算税
期限までに申告をしなかったという事実に対するペナルティとして、無申告加算税が課税されます。
無申告加算税の税率もかなり複雑であり、期限後に申告した時期と、相続税の金額によって異なります。
まず、税務調査の事前通知がなされる前に自主的に相続税申告をした場合の無申告加算税の税率は、相続税額にかかわらず一律5%となります。
次に、税務調査の事前通知がなされた後に自主的に相続税申告をした場合の無申告加算税の税率は、相続税額のうち50万円以下の部分については10%、50万円を超えて300万円以下の部分については15%、300万円超の部分については25%となります。
さらに、税務調査がなされた後に相続税申告をした場合の無申告加算税の税率は、相続税額のうち50万円以下の部分については15%、50万円を超えて300万円以下の部分については20%、300万円超の部分については30%となります。
3 節税効果の高い特例の適用を受けられなくなる
相続税には、相続税を大幅に減額することができる制度として、配偶者控除と小規模宅地等の特例というものが設けられています。
これらは、いずれも(相続人が複数いる場合)遺産分割協議を終えたうえで、相続税の申告を行わなければ適用を受けることができません。
相続税申告期限までに遺産分割を終えられない場合には、まず「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税申告書に添付して未分割申告(法定相続割合で遺産分割をしたと仮定した申告)を行います。
その後、遺産分割協議が成立したら、改めて更正の請求等をすることで、遡って特例の適用を受けることができます。
遺産分割未了の場合の相続税申告 配偶者に対する相続税額の軽減